目的と目標の違いとは?子ども達にもわかるよう説明しよう!
子どもってどんなことでも「なんで?なんで?」って聞いてきたりしますよね。それに答えようとして案外難しいことってありませんか。
「目的」と「目標」の違いというのも、子ども達に聞かれると案外難しいですよね。辞書で調べてみてもイマイチわかりずらかったりするものです。
何かモヤモヤするので「目的」と「目標」の違いについて、子ども達にもわかりやすくカンタンに説明できるよう調べてみました。
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目次
「目的」と「目標」の辞書的意味は
ことばの意味なのでまずはやっぱり、「目的」と「目標」の違いについて辞書で調べてみました。
もく‐てき【目的】 の意味
1 実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい。めあて。「当初の―を達成する」「―にかなう」「旅行の―」
2 倫理学で、理性ないし意志が、行為に先だって行為を規定し、方向づけるもの。
また目標については…
もく‐ひょう【目標】 の意味
1 そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの。「島を―にして東へ進む」
2 射撃・攻撃などの対象。まと。「砲撃の―になる」
3 行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準。「―を達成する」「月産五千台を―とする」「―額」
…ということですが、まず目的と目標では、目標の方がわかりやすいでしょうか、ざっくり言うと…
- 目的とは、目指す行動の”ねらい”
- 目標とは、そこを目指す”目印や水準”
例では「旅行の目的」とあります。これは「旅行のねらい」⇒「なんのために旅行に行くのか、旅行に行って何を実現したいのか」。つまり「旅行に行って皆の親睦を図りたい」とか…この場合は「親睦を図る」ことが目的。そして「どこかへ旅行に行くこと」が目標ということでしょう。
どちらも”目指す”という意味では同じ様ですね。でも子ども達にもわかる程にという意味ではまだまだ分かりずらい感じがします。もっとわかりやすくとらえたいですね。
「目的」と「目標」の違いを子ども達にも明確にわかりやすく説明するには
やっぱりわかりやすい具体例を使って説明しましょう。石川遼選手の小学校6年生の時のスゴイ作文があります。これを使って説明してみます。
将来の自分 石川遼
二年後…中学二年生、日本アマチュア選手権出場。
三年後…中学三年生、日本アマチュア選手権(日本アマ)ベスト8。
四年後…高校一年生、日本アマ優勝、プロのトーナメントでも勝つ。
六年後…高校三年生、日本で一番大きなトーナメント、日本オープン優勝。
八年後…二十歳、アメリカに行って世界一大きいトーナメント、マスターズ優勝。
これを目標にしてがんばります。マスターズ優勝はぼくの夢です。それも二回勝ちたいです。みんな(ライバル)の夢もぼくと同じだと思います。でも、ぼくは二回勝ちたいので、みんなの倍の練習が必要です。
みんなが一生懸命練習をしているなら、ぼくはその二倍、一生懸命練習をやらないとだめです。ぼくはプロゴルファーになって全くの無名だったら、「もっとあのときにこうしていれば…」とか後悔しないようにゴルフをやっていこうと思います。
来年には埼玉の東京GCで行なわれる「埼玉県ジュニア(中学の部)」で優勝したいです。
今は優勝とか関係ありません。中学生になってからそういうことにこだわろうと思います。高校生で試合に優勝すると、外国に招待してくれます。その試合で世界から注目される選手になりたいです。
ぼくは勝てない試合には今は出ません。
ぼくの将来の夢はプロゴルファーの世界一だけど、世界一強くて、世界一好かれる選手になりたいです。
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小学校のときからこんな目的や目標をたてているとは、何ともスゴイ人ですね。そんな石川選手ですが、彼の目的と目標について考えてみましょう。
目的というのは”行動のねらい”ですから、”それをやる理由”につながります。目的≒理由だと思います。
この場合石川選手は「プロゴルファーの世界一だけど、世界一強くて、世界一好かれる選手になりたいです。」と書いていますよね。ココで目的か目標か少しわかりずらいですね。
『”強くて””好かれる”選手になりたい、それが夢』ということが目的で、”世界一”を目指すということでは目標でしょう。
私には目的が不明瞭に感じられたので、わかりやすくするために、私が勝手に想像して加筆します。
仮にゴルフをやるのは、強くて好かれる大きな自分、そして多くの人たちに希望を与えたいという自分の夢の実現のためだとします。すると…
- 彼がゴルフをやる〈行動〉のは「プロゴルファーとして強くて、好かれる大きな選手になって、多くの人に希望を与えたいという夢を実現すること」〈ねらい〉。
そしてそれをやる理由をかなえるための目印や水準が目標。目印や水準ですから、1つとは限りません。段階があってもよいわけです。そうみると石川選手の場合、その途中過程として、
- 二年後…中学二年生、日本アマチュア選手権出場〈目印・水準1〉
- 三年後…中学三年生、日本アマチュア選手権(日本アマ)ベスト8〈目印・水準2〉
- 四年後…高校一年生、日本アマ優勝、プロのトーナメントでも勝つ〈目印・水準3〉
- 六年後…高校三年生、日本で一番大きなトーナメント、日本オープン優勝〈目印・水準4〉
- 八年後…二十歳、アメリカに行って世界一大きいトーナメント、マスターズ優勝〈目印・水準5〉
- さらにアメリカに行って世界一大きいトーナメント、マスターズで2回目の優勝〈目印・水準6〉
ちなみに子供たちに説明するなら、
そして目標というのはさまざまなゴルフの試合に優勝することで、わかりやすい目印のことだよ。」
といった感じでしょう。
「目的」と「目標」の特徴を図解してみると
さらに目的と目標の各々の特徴を捉えると、
[用法]目的・[用法]目標――「目的(目標)に向かって着実に進む」のように、めざすものの意では相通じて用いられる。
◇「目的」は、「目標」に比べ抽象的で長期にわたる目あてであり、内容に重点を置いて使う。「人生の目的を立身出世に置く」
◇「目標」は、目ざす地点・数値・数量などに重点があり、「目標は前方三〇〇〇メートルの丘の上」「今週の売り上げ目標」のようにより具体的である。
とあります。めざすものの意味で同じですが、
- 目的は抽象的・長期・内容に重点
- 目標は具体的・目指す地点・数値・数量に重点
さらに目的と目標の関係を図解してみましょう。
と一目瞭然、かなり明確になったのではないでしょうか。子ども達に説明するときには、この図を使って説明してみてくださいね。
「目的」と「目標」を混乱させる原因とは
明確になったところで、なんで目的と目標を混乱してしまうのか考えてみました。
ひとつは、両方とも「めざすものの意では相通じて用いられる」からですね。抽象的か、具体的かはともかくとしてともに、めざすという意味があるからです。
そしてもう一つは目的と目標が相関した構造があるからではないでしょうか。つまり「目的=目標」があり得るということ。石川選手の例で言えば、
”「それも二回勝ちたいです。みんな(ライバル)の夢もぼくと同じだと思います。
でも、ぼくは二回勝ちたいので、みんなの倍の練習が必要です。」”
と書いています。そもそも作文では、
”彼がゴルフをやる〈行動〉のは「プロゴルファーとして強くて、好かれる大きな自分になるため」〈ねらい〉”でこの「二回勝つ」というのは、目標のひとつでした。
しかし、もし「倍の練習」ということを日々の目標にするなら、マスターズの試合に出て〈行動〉二回勝つこと〈ねらい〉は目的になりえます。この場合だとマクロ的にみれば「二回勝つ」は目標、ですがミクロ的にみれば目的となるのです。
この目的と目標が相関的な構造が物事を複雑にしてしまうのですね。マクロでみるか、ミクロでみるか、それらを混在させると、目的=目標となってしまうのが混乱の原因なのです。
さらにもう一つ。「目的」と「目標」を分けるポイントとして「目的⇒抽象的」「目標⇒具体的」ということがありました。あることが抽象的か具体的かは割と”曖昧”ではないでしょうか。
なおかつ上記例のように十分に表現されていなかったりすることもあります。曖昧がゆえに、目的なのか目標なのかわからなくなってしまう…それも混乱させる原因でしょう。
まとめ
目的と目標の違いについて考えてきました。
子ども達にもわかるように説明するなら、
目標とは、それをかなえる、わかりやすい目印だよ」
としたいと思います。ご参考に。
最後までご覧頂いてありがとうございます。
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